関心があるのは「上下関係」ばかり
だから、資源分配の決定を「管理が好きな人たち=創造とは何かを知らない人たち」が下す限り、その集団が創造的なものになるチャンスはまずない。したがって、自分の出世しか興味がない会社員が組織マネジメントを委ねられると、組織はどんどん息苦しく、みすぼらしいものになるということは避けられない。
というのは、「管理」が大好きな人たちはあらゆる仕事に先立って「まず上下関係を確認する」ところからはじめるからだ。「ここでは誰がボスなのか」「誰が命令し、誰が従うのか」「誰には敬語を使い、誰にはタメ口でいいのか」「誰には罵倒や叱責を通じて屈辱感を与えることが許されるのか」ということをまず確認しようとする。彼らはまずそれを確認しないと仕事がはじめられないのだ。
この集団はそもそも何のためにあるのか、いかなる「よきもの」を創り出すために立ち上げられたのか、メンバーたちはそれぞれどういう能力や希望があるのかということには副次的な関心しかない(それさえない場合もある)。関心があるのは「上下」なのである。
だから、日本の組織においては、上司が部下に対して最初にするのは「仕事を指示すること」ではなくて、「マウンティングすること」である。目下の人間にまず屈辱感を味わわせて、「この人には逆らえない」と思い知らせることがあらゆる業務に優先する。そんな集団が効率的に機能するだろうか。
朝の会議で上司が部下に「発破をかける」ということが日本の会社ではよく行われるが、あれは今日する仕事の手順を確認しているわけではない。誰が「叱責する人間」で、誰が「黙ってうなだれる人間」かを確認する儀礼だ。そんなことを何時間やっても、仕事は1ミリも先に進まないのに。
だが、管理が好きな人たちは、その因果関係が理解できない。しっかり管理しているはずなのに、トップダウンですべての指示が末端まで示達されているはずなのに、なぜか組織のパフォーマンスはどんどん下がる。