「人生で何の役に立つのか?」と思いながら学んだ人もいるかもしれないが(写真:mapo/イメージマート)

単純な四則演算から複雑な記号が並ぶ証明問題まで、様々な範囲を含む「算数・数学」。学ぶ内容は多岐にわたるものの、日常生活で必要となるのは、そのごく一部だと感じる人も多いだろう。特に苦手意識を持つ人からすれば、「何のために苦労して学んだのだろう?」と疑問を抱くこともあるかもしれない。『文系オトナですが、今から数学を楽しめますか?』(math channel、横山明日希著、笠間書院)は、日常に隠れている算数・数学の恩恵や、その楽しみ方について例題を交えながら教えてくれる。苦手意識のある大人だけでなく、これから学ぶ子供にも、算数・数学を楽しむ方法を与えてくれるだろう。

(東野 望:フリーライター)

数学の「楽しさ」を見つける

 小学校入学から中学・高校、人によっては大学まで学び続ける「算数・数学」。長い期間にわたって学ぶ分、一度苦手意識を持ってしまうとなかなかに苦労を強いられる。中には、「数学が苦手だから文系を選択した」という人もいるのではないだろうか。

「楽しさ」を感じられないものに好意を抱くのは難しい。学生時代は、公式を覚えたり、問題を解いたり、テストで高得点を取ったりすることが目的になりがちで、娯楽性は低い。例えば、漫画やゲームをきっかけに歴史にハマる人は多いが、ただ単に年表や人名を覚えるだけでは味気ないだろう。

 そんな算数・数学の「楽しさ」に気づくきっかけを与えてくれるのが、今回紹介する『文系オトナですが、今から数学を楽しめますか?』だ。ちなみに著者名にあるmath channelは「株式会社math channel」という企業で、算数教室やYouTubeなどでの情報発信などを行っている。

役に立っていることが実感しにくい数学の力

 そもそも算数・数学を学ぶと何の役に立つのだろうか?

 金銭の計算に必要な四則演算や、野球の打率などの表記に使用される確率はなじみ深く、必要性も理解しやすい。だが、算数・数学で学習する範囲は非常に広く、生活する上で使用する機会に恵まれない内容があるのも事実だ。学生時代、「この知識が自分の将来の何に役立つのだろうか?」との不満を抱えたままテキストとにらめっこをしていた人もいるだろう。

 実は、算数・数学そのものだけでなく、算数・数学を学ぶ上で身に付く力が日常生活で役に立っている。本書では、その実例として「数学的思考力」や「空間認識能力」などを挙げて、以下のように述べている。

数学的思考力は論理的に物事を考える力や、物事を抽象的にとらえたり具体例を考えたりする力、情報をわかりやすく整理する力などいろいろな力のことを指します。これらは日常の中で意識せずに自然と使っている力なので、ちょっと身近に感じられない方も多いはずです。

論理的思考にも役立つと考えられている(写真:takasu/イメージマート)

 授業で学んだ公式や定理が実生活で役に立つ場面は少ないかもしれないが、論理的に物事を考える力や情報をわかりやすく整理する力が重要になる場面は多々あるだろう。算数・数学を学ぶ重要性が垣間見える。