話を聞くだけでも面白い算数・数学

 算数・数学の楽しみ方は問題を解くだけではない。本書では、算数・数学の知識を利用して、昔話「わらしべ長者」が物々交換を続けていたら? というテーマの考察も行っている。

 わらしべ長者は、藁1本をみかんや反物と交換していき、最終的に屋敷と田を手に入れる物語だ。その金銭的価値の推移から法則を導き出し、その後も物々交換を続けていたらどうなるかを予測している。

 途中の計算については本書を実際に読んでいただきたいが、最終的には15億円くらいの価値で頭打ちになってしまうと結論づけられていた。これは高校数学の「階差数列」の知識をもとにしている。

 今すぐ実生活に役に立つものばかりではないが、算数・数学を使うことで何気ない話から想像力を膨らませることができ、日常を少し豊かにしてくれる。そんな「知的な豊かさ」をもたらしてくれるのも、数学の魅力の1つだろう。

文系オトナですが、今から数学を楽しめますか?』(math channel、横山明日希著、笠間書院)