ペースメーカー不在のレースを求める声も

 記録向上を目指すランナーにとって、ペースメーカーの存在は大きなメリットになる。

 過去に日本の女子マラソン選手で2時間20分を切る高タイムを残したのは、高橋尚子氏、渋井陽子氏、野口みずき氏の3人のみだが、3者の記録は男子選手がペースメーカーを務めた「ベルリンマラソン」にて生まれた。記録を重視する大会においては、確かにペースメーカーの投入が効果的だ。

2001年のベルリンマラソンで世界新記録で優勝した高橋尚子氏(写真:北川外志廣/アフロ)

 一方でペースメーカーがいることにより、終盤までは一定のレース展開を保つこととなる。そのためペースメーカーの存在が、選手同士の駆け引きなどによる“ガチンコ勝負感”を損ねているという声も少なくない。

 世界的に見てもペースメーカーを取り入れる大会ばかりではなく、オリンピックや世界選手権など、順位が重要視される大会ではペースメーカーを使っていないのが現状だ。