就活のモヤモヤ「評価基準が見えない」

——表向きは、笑顔で話を聞いてくれているように見えても、実際は品定めをしているわけですね。

山川:そして何度も不合格通知をもらってしまう。就活のつらいところは、合否の判定の理由がはっきりしないことです。

 学生時代までは、テストの点数で明確に評価されました。ある意味、公明正大です。ところが面接は、評価の基準がよく分かりません。不合格通知をもらった学生の多くが「なぜ自分が?」と考え込んでしまう。

——一次審査を通過して面接までたどり着いたわけですから、おそらく落とされた理由の1つは面接での受け答えにあったのでしょうが、具体的にどこに問題があったか分からない。

山川:面接官から「ご縁がありましたら、また一緒に仕事しましょう」などと、あいまいな表現で不合格を言い渡される。これではモヤモヤが膨らむ一方です。自分のどこを直せばいいのか分からない。特にこれまで自分の話を根気よく聞いてくれる人に囲まれていた人ほど、自分の課題を客観的に見ることができません。

——新入社員も同じです。いくら学歴が高くて、入社試験の結果が良くても、会社に入ると、別の基準で評価される。

山川:「こんなはずではなかった」と思い悩む人が出てきます。人は得てして自己評価は高い。しかし社会人になれば、評価するのは自分ではなく、上司や顧客です。そして上司は選べません。

——運悪く、ひどい上司のもとで仕事することになったら、思い悩みます。

山川:異動願を出したり、どうしても我慢できない人は転職したりするのも選択肢でしょう。しかし、先ほども申し上げた通り、コミュニケーション力はどんな組織に所属しても求められます。職場を変えたところで根本的に解決するわけではありません。

「話す・聞く・書く」伝え方のシン・常識 半分にして話そう(山川龍雄著、日経BP)