話したことが伝わっていない——。こんな思いをすることが往々にしてある。会社やビジネス上のやりとりで誤解があると、自身の評価や成績にも影響しかねない。伝わりやすい話し方はどのようなものなのか。テレビ東京ワールドビジネスサテライトの解説キャスターが、実体験を基に対話形式で「伝わる話し方」のコツを公開する(全3回の1回目)。
(*)本稿は『「話す・聞く・書く」伝え方のシン・常識 半分にして話そう』(山川龍雄著、日経BP)の一部を抜粋・再編集したものです。
——話が長い人が敬遠されるというのは、公私を問わず、あらゆるシーンに共通しますね。
山川龍雄・テレビ東京解説キャスター(以下、山川):はい。私は上司よりも長く話す人で、後に出世した人をあまり見たことがありません。中には例外がありますが、それは会社人生の中でよほど寛大な上司に恵まれた幸せな人でしょう。
——確かに。普通は上司の話をじっと聞いている時間の方が長い。
山川:多くの人は自分のことを理解してもらいたい。自分がやったことは評価してもらいたいし、失敗については弁解したい。だから、どうしても自分のことを話しがちになります。しかし大抵の場合、ナルシシストタイプの「かまってちゃん」は組織の中では敬遠されます。忙しい上司は部下の言い訳や自己評価を聞きたいわけではありません。
——プライベートでも、ダラダラと身の上話を続ける人がいます。
山川:飲み会の席で4人集まれば、1人はそんなタイプではないでしょうか。話が面白ければよいのですが、大抵は以前に聞いたようなグチを繰り返し聞かされることが多い。しかも日記を読むように順番に話そうとするので、話のオチが見えません。残りの3人の中には、その話を根気よく聞く人もいれば、「また始まったよ」という感じで、スマホをおもむろに取り出す人もいます。