- お笑い集団・大川興業の総裁で、自らも政治経済ネタを得意とする芸人である大川豊氏。「現場の声」に突き動かされ、障がいを持つ人たちや施設職員、障がい者の働き方を考える企業との対話を1冊の本『大川総裁の福祉論!』(旬報社)にまとめた。
- 障がい者も健常者と同じく「あたりまえ」の存在。家族だけでなく、さまざまな専門機関と連携し、社会全体で支える必要もある。そのために、何が必要か。
- 本書から2回に分けて一部を抜粋する。前編は、衆議院議員であり、障がいを持つ息子を育てている野田聖子氏との対談。野田氏は息子、大川氏は母親と、それぞれの壮絶な介護体験を語り合う。(JBpress)
後編:【大川総裁と久遠チョコレート代表が語る福祉】障がい者を積極雇用し売上高17億円「経済のセオリーをぶち壊したい」
大川豊氏(以下、敬称略):昔から大川興業のお笑いライブにはいろんな芸人が出演しています。1994年には、先天性多発性関節拘縮症(せんてんせいたはつせいかんせつこうしゅくしょう)で両手両足が使えない車椅子の芸人・ホーキング青山がデビューしました。最近ではALS(筋萎縮性側索硬化症)患者でステイホーム芸人の「ALSのイーグル76」が遠隔操作ロボットを使って愛知県の自宅から東京のライブに出演しています。
重度の障がい者がお笑いをやることを批判する人もいますが、自分はこれが当たり前の社会だと思っているんですよね。人間は多様で、誰もがいろんな可能性を持っています。障がいを持つ人が「笑われる」のではなくて、ちゃんと芸人としてお客さんを「笑わせている」んです。
野田聖子氏(以下、敬称略):大川さんのように、障がいを当たり前のことだと考えられるのはすごいことですよ。私には13歳になる息子がいますが、彼は医療的ケア児であり知的障がい児であり身体障がい児でもあります。
私は息子を産んだときから障がいが生活の一部になっているので抵抗はありませんが、世の中には障がいに対して抵抗を覚える人がまだまだ多い。だから「知的障がい者の明日を考える議員連盟」の勉強会で大川さんをお見かけしたときは「どうして芸能人の大川さんがいるの?」と驚きました。それと同時に、ものすごく嬉しかった。