濃度で変わるお粥の種類
お粥には「○分粥」という分類と、「○倍粥」という分類との2種の分け方がある。「○分粥」は「全粥」を基準にした米と水の量の割合を表している。ちなみに「全粥」は米と水との割合が米1:水5、「7分粥」が米1:水7、「5分粥」が米1:水10、「3分粥」になると米1:水20となる。要するに「○分粥」の数字が小さいほど水分量が多くなる。これは全粥に重湯を足して量を調節する調理法を用いる病院や施設などで使われることが多い。
「○倍粥」は米に対する水の割合を表しており、数字が大きくなると水分が多くなる。5倍粥(米1:水5)は「全粥」、7倍粥(米1:水7)は「7分粥」、10倍粥(米1:水10)は「5分粥」となる。家庭で調理するときには、こちらがわかりやすいかもしれない。
米1合は180ccで重さにして150g。料理でよく用いる計量カップは、一杯で200ccなので、間違わないように注意しよう。米の計量カップで水も測れば、○倍は正確になるだろう。5倍粥(全粥)を作るには計量カップに半分の米に対し、水はカップ2.5杯となる。
水分が多い10倍粥はサラサラしているので嚥下しにくい時などに食べやすく、5倍粥はしっかりしているので食べ応えがあり、その分、エネルギー量を多く摂取できる。体調に応じて水を足して調節するといいだろう。
「お粥の食べやすさは水分量によるところが大きいのですが、おいしさという観点では、舌触りや柔らかさも大切です。お粥の軟らかさには加熱後の経過時間が関係しています。たとえば5倍粥(全粥)は保温時間が長く、温度が高いほど硬くなります。すぐに食べるのであればおいしいのですが、体調を崩している人に『後で温めて食べてね』といって作り置きしておく時や、時間をかけてゆっくり食べる方には、水分が多めの7倍粥(7分粥)のほうが舌触りや軟らかさが保たれてよいと思います」(大塚さん)