2月5日、不当合併疑惑事件で無罪判決が下された李在鎔サムスン電子会長。ソウル中央地裁前で(写真:ZUMA Press/アフロ)

 韓国検察によって19個の嫌疑で起訴された李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子会長の「経営権不法継承」事件に対する1審判決で、「全て無罪」が言い渡された。

 この事件は、いわゆる「朴槿恵(パク・クネ)国政論壇事件」とは別の事件で、李在鎔氏のサムスン電子の経営権継承のため、サムスングループの未来戦略室が中心となって様々な不正を犯したとして、李氏と13人の役員を起訴した事件だ。

 裁判所はこのすべての疑惑に対して無罪を宣告し、共犯として起訴されたサムスングループの役員らに対しても全員無罪を宣告した。

 当初から「無理筋の起訴」という批判的な意見が提起されていたのだが、文在寅(ムン・ジェイン)政権の寵愛を受けていたころの尹錫悦(ユン・ソンヨル)当時検察総長が起訴に踏み切った事件だった。

検察が思い描いた無理な筋書き

 サムスン電子の不法継承疑惑とは、簡単に言えば2015年に行われたサムスングループ傘下の「サムスン物産」と「第一毛織」の合併が李在鎔氏のサムスン電子経営権継承のための不法行為だったという見立てだ。

 もう少し詳しく説明すると、サムスン電子の保有持分が約5%に過ぎない李氏一家(李氏本人に限ると1%にも達しない)が経営権を継承するために、サムスン電子株の4.25%を保有するサムスン物産を李在鎔氏が筆頭株主になっている第一毛織と不当に合併させた、というのが検察が主張する筋書きだ。