戦略巡航ミサイル「火矢-3-31」の発射実験を視察した北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(右)=1月28日戦略巡航ミサイル「火矢3-31」の発射実験を視察した北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(右)=1月28日(写真:朝鮮中央通信=共同)

また「北風」が

 今年4月に総選挙を控えている韓国は年初から「北風」でざわついている。

「北風」とは、韓国の選挙に影響を与え、安全保障上の不安を引き起こすような北朝鮮の挑発行為のことである。北朝鮮は過去に韓国の選挙を狙って挑発を繰り返し、朝鮮半島の安保を揺さぶってきた。

 北風は、過去の選挙では保守側に有利に作用したが、最近はむしろ「平和」を強調する進歩側に有利に働くことも多い。今回の「北風」も、保守と進歩、どちらに有利に働くかについては、見解が分かれている。

 北朝鮮は昨年末から挑発を示唆する強硬な発言で、朝鮮半島の安保を脅かす心理戦を展開した。金正恩総書記は韓国を「敵対的交戦国関係」と規定し、統一の対象や対話・交渉のパートナーではなく、武力赤化統一の対象であることを明確にした。

 続いて「核兵器を含めすべての手段を動員して南朝鮮全領土を平定するための『大事変』準備に拍車をかけろ」「戦争を避けるつもりはない」などの強硬発言を連発した。

朝鮮で制作された金正恩朝鮮労働党総書記が施政演説で示した課題の貫徹を呼び掛けるポスター。「全人民抗戦準備に最大の拍車を!」と書かれている(朝鮮通信/共同通信イメージズ)