カンザスシティ・チーフスとマイアミ・ドルフィンズのプレーオフに駆けつけたテイラー・スウィフトさん(1月13日、写真:AP/アフロ)

陰謀論がトランプ・カルトの常套手段化

 2月11日の全米プロフットボールリーグ(NFL)のチャンピオンを決めるスーパーボウルが、トランプ信奉者たちの仕掛けた「陰謀論」の影にすっぽりと覆われている。

「陰謀論」(the Conspiracy Theory)とは、米保守派が、2020年大統領選が民主党によって仕組まれた「インチキ選挙」「トランプ起訴はすべて民主党の魔女狩り」だ、と主張するトランプ流の「正論」を意味する。

 そこから、特定の集団が秘かに計画を練る行為を、悪意に満ちた意味合いを込めて特定することを指す。

(「陰謀論」は元々、CIA=米中央情報局が1967年のジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件に関して出ていた複数犯行説など様々な説を「陰謀論」と称したのが初めとされている)

theconversation.com/theres-a-conspiracy-theory-that-the-cia-invented-the-term-conspiracy-theory-heres-why

wired.com/conspiracy-theories

 標的は、超人気ポップ・シンガーソングライターのテイラー・スウィフトさん(34)。

 グラミー賞12回、ゴールデングローブ賞4回、エミー賞1回、世界を股にかけ稼ぎに稼ぎまくり、目下総資産11億ドルの億万長者だ。

 スウィフトさんの「もう一つの顔」は、筋金入りのリベラル派であること。

 その彼女がスーパーボウルのハーフタイムに飛び入り出演し、そこでバイデン支持を宣言すると断定しているのが今回の「陰謀論」である。

 バイデン一派が企んだ再選に向けたウルトラCだというのである。

 この「陰謀論」は、再選を目指すトランプ陣営と水面下で繋がるトランプ・カルトのキャスターたちがFOXニュースや保守系SNSで流している。

 スウィフトさんは、2月11日まで東京ドームで公演、終了直後にスーパーボウルの会場、ラスベガスのアレジアント・スタジアム(収容観客数7万1000人)に駆けつけ、恋人のトラビス・ケルシー選手(カンザスシティ・チーフスのリードタイト)の試合を観戦する。

newsweek.com/taylor-swift-super-bowl-perform-usher-japan

 スウィフトさんが観戦するところまでは事実だが、「陰謀論」には尾ひれがついて、ハームタイムでスウィフトさんが歌って踊り、最後に「ジョー・バイデン大統領を支持します」と宣言するというのだ。