- 韓国の最大野党「共に民主党」のナンバー2である李洛淵(イ・ナギョン)氏が離党し、第三極を目指して新党を旗揚げする。
- 折しも共に民主党の李在明代表が襲撃される事件が起きたばかり。「黒い影」がつきまとう政治に愛想を尽かしている若者の動向が3カ月後の国会議員選挙でカギを握りそうだ。
- 「カワイイ」日本文化が好きな若い女性から支持を受けた第三極が力をつければ日韓関係の更なる改善を期待したくなるが、その考えは早計だ。(JBpress)
(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)
韓国の政界に衝撃が走っている。国会議員選挙まで3カ月となったいま、韓国最大野党「共に民主党」が分裂し始めたからだ。
1月11日、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領時代に首相を務め、共に民主党内でナンバー2の力を持つと言われていた李洛淵(イ・ナギョン)元代表がソウル市汝矣島の国会議事堂で記者会見を行い、離党を宣言した。東京駐在経験もある知日派とされ、金大中、盧武鉉、文在寅といった共に民主党出身の歴代大統領の系列を受け継ぐ。同氏の離党宣言は、文在寅前大統領と距離をとってきた李在明(イ・ジェミョン)代表との決別宣言である。
李在明代表はこれまで事あるごとに日本を批判してきた。福島第1原子力発電所の処理水放出への激しい批判は記憶に新しい。李洛淵氏の離党で李在明代表の求心力低下は免れず、その結果、日韓関係にも変化が起きるのだろうか。この点については最後に触れるとして、まずは政局を分析する。
事実上の二大政党制になっている韓国の政界で、離党した李洛淵氏は今後、第三極の形成を目指す。16日には、新党「新しい未来」(仮称)の発起人大会を開いた。2月には正式に新党を結成する予定だ。
李洛淵氏は第三極を形成するためには、「手を組める相手であれば誰とでも手を組む」と述べており、この発言を受けて韓国国内では、与党・国民の力を去年暮れに離党した李俊錫(イ・ジュンソク)元代表とタッグを組むのではとの臆測が流れている。