ホンダが軽で日産・三菱連合に合流?

 軽自動車は日本特有の規格であり、日本市場にしか存在しないクルマだ。国内の新車市場は縮小し、2022年はインドに追い抜かれて、中国、アメリカ、インドに次ぐ世界4位に落ちた中、軽自動車は国内新車比率に占める割合が約4割と存在感を示している。

 公共交通手段が発達していなかったり、そのサービスが縮小したりしている「1人にクルマが1台必要」と言われる地方では、いまも軽自動車は生活の「足」として必需品となっている。

ホンダ新型N-BOX発表会=2023年10月(写真:日刊工業新聞/共同通信イメージズ)

 一方で、国内で最も売れている軽自動車「N-BOXシリーズ」を抱えるホンダは、軽自動車事業の収益性が芳しくない。軽自動車でも高級な装備が増えるなど贅沢な設計によりコストが高くなっていることなどが一因と見られる。

ホンダの三部敏宏社長(写真:WireImage/ゲッティ/共同通信イメージズ)

 筆者はいずれホンダも軽自動車事業の再編に動くと見ていたが、「ダイハツ・スズキ連合」が誕生するような動きになれば、ホンダの動きも加速するのではないか。そこで、ホンダが組む相手はずばり日産自動車・三菱自動車連合だ。両社は軽自動車の共同企画・開発会社「NMKV」の合弁会社を立ち上げ、うまく機能している。EV比率が低い国内で健闘している軽自動車EV「サクラ」(日産)や同「ekクロスEV」(三菱)などはNMKVで企画開発された。

 普通の乗用車(登録車)に比べて価格が安い軽自動車で収益を上げようと思えば、コストを落とすことは当然ながら重要だ。日産と三菱は軽自動車を共同プロジェクトで開発することでコストを抑えることに成功した。

日産自動車と三菱自動車が共同開発した軽の電気自動車、日産の「サクラ」(左)と三菱自の「ekクロスEV」(写真:共同通信社)

 ホンダはNMKVに合流することで軽自動車の開発コストを抑えることを狙ってくるだろう。この時に課題となるのは、ホンダと三菱、ホンダと日産のそれぞれの相性の問題だ。自動車メーカーは会社ごとに設計思想や生産手法が違い、そこに各社の誇りや思い入れがある。トップ同士が腹を割って話し合うことが求められるのではないか。