何よりも結果的に「メガディール」となったとはいえ周知の通り、大谷はカネに執着するような性格の持ち主ではない。実際に今回の後払い方式についても、大谷本人が会見上で「もともと後払いというのはどの選手も大型契約になると付くものではある。自分が今受け取れる金額を我慢して、ペイロール(総年俸)に柔軟性を持たせられるのであれば、僕は全然、後払いでいいですというのが始まり」と“フォア・ザ・チーム”の気持ちがきっかけだったことを明かしている。

帽子を受け取る大谷 大谷、ドジャース入団会見  米大リーグ、ドジャースの入団記者会見で帽子を受け取る大谷翔平=12月14日、ロサンゼルスのドジャースタジアム(写真:共同通信社)米大リーグ、ドジャースの入団記者会見で帽子を受け取る大谷翔平=12月14日、ロサンゼルスのドジャースタジアム(写真:共同通信社)

 これだけのスーパースターでありながら「超」が付くほどの品行方正。大谷株は急上昇の一途を遂げ、その勢いは青天井だ。

 野球人気が高いとは言えない英国の公共放送「BBC」はMLBのトピックスをほとんど扱わないが、大谷のドジャース移籍に関するニュースは詳細に取り上げた。地元ロサンゼルスからは言わずもがなだが、今後は日米のみならず、世界中の人々が、名門球団ドジャースへ移籍し、史上最高のメガディールを得ながらも一貫して“クリーン”なスーパースター「ショウヘイ・オオタニ」に視線を注ぎ込むことになるだろう。

同じLA本拠でもドジャースとエンゼルスでは注目度が段違い

 そうなるとどうしても気にかかるのは、大谷を取り巻く生活環境の激変だ。1961年に産声をあげた新興球団で人気もワールドクラスとは言えないエンゼルス時代はオンとオフの使い分けが可能で一定のプライバシーを確保することができていた。

 しかしながら1884年創設で7回のワールドシリーズ優勝、24回のリーグ優勝、今季まで11年連続ポストシーズン進出中の人気球団ドジャースに身を移せば、一挙一動に視線が注がれることになり、大谷自身が最も大事にしているプライベート空間の維持が危うくなりそうな気配が漂う。