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来季の大谷は打者に専念するが、それでも年俸は大幅に跳ね上がる。経営陣が優勝に向けたプランを持たないエンゼルスを離れ、他の球団を選ぶだろう(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)来季の大谷は打者に専念するが、それでも年俸は大幅に跳ね上がる。経営陣が優勝に向けたプランを持たないエンゼルスを離れ、他の球団を選ぶだろう(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

(文:大冨真一郎)

WBC(ワールドベースボールクラシック)の決勝戦で死闘を演じた日本代表の大谷翔平と米国代表のマイク・トラウト。世界最高の選手2人を抱えながら、LAエンゼルスは今季もプレーオフに進出できなかった。今オフにFA権を得て移籍が見込まれる大谷は、果たしてどのチームを選ぶのか。本当に頂点を目指すならば、重視すべきは「勝てる組織」を編成できるフロントの頭脳と経営陣のビジョンだ。

 メジャーリーグでは現地11月1日にワールドシリーズの決着がついた。球団として初優勝を果たしたレンジャーズはアメリカン・リーグの第5シード。対戦相手となったダイヤモンドバックスはナショナル・リーグの第6シードという下馬評の低かった2球団の対戦。レンジャーズは2年前に102敗。ダイヤモンドバックスは2年前には110敗を喫した球団で、2シーズン前に100敗以上した球団同士がワールドシリーズで対決したのは史上初のことだった。

 新鮮な顔合わせとなったワールドシリーズだったが、日本のファンの多くは大谷翔平をこの大舞台で見たかったという気持ちを捨てきれないでいることだろう。今シーズン、リーグMVPの受賞がほぼ確実とされる大谷だが、所属するエンゼルスは借金16、首位から17ゲーム差の地区4位と今年も残念な結果に終わった。2年前、大谷が1度目のMVPに輝いた時に口にした「ヒリヒリするような9月を過ごしたい」という願いはかなわないまま、大谷は今オフFAを迎える。

 大谷が渡米して6年間。エンゼルスはメジャーを代表する2人のスーパースター、大谷とマイク・トラウト外野手を擁しながら一度もポストシーズンに進出できなかったのだ。

 2年前に100敗した球団がワールドシリーズへ進むのに、なぜエンゼルスはプレーオフにすら進めないのか。今季のエンゼルスはけが人も多く運が悪かった面もあるが、それ以上に、エンゼルスという球団が優勝に向けた長期的なプランを持っていない、という点を強く指摘したい。

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