トラブル続きで課題も山積
革新的なビジネスモデルによって急成長を遂げたSHEINだが、他方で課題も抱えている。なかでも指摘が多いのが、権利侵害の疑いだ。
例えばアーティストとして活動するマギー・スティーブンソン氏は、自身で制作したアート作品がSHEINによって盗用されたと主張。著作権の侵害を理由にSHEINの運営会社などを提訴した。またファッションブランド『STÜSSY(ステューシー)』『Dr.Martens』といった有名ブランドをはじめ、複数のアパレル企業やアーティストが権利侵害を訴えている
こうしたSHEINによるいわゆる“パクり”問題は、日本の企業やアーティストとも無関係ではない。過去にはファミリーマート限定の『赤城 たべる牧場ミルク』シリーズに使われているロゴが盗用されたとして、デザイナー本人がSHEINを批判。他にも有名インスタントラーメンを連想させるキャラクター商品などを販売していたことで、SHEINを問題視する声が出た。
新疆ウイグル自治区での労働力搾取問題も指摘
さらにSHEINへの批判はデザインに関するものだけでなく、商品製造における強制労働との関与に対する疑いも指摘がある。ドイツの研究所が2022年におこなった調査により、SHEINが米国に向け輸出した商品に中国・新疆ウイグル自治区でつくられた素材が使用されていると判明した。
新疆ウイグル自治区は、中国による強制的な労働力の搾取がおこなわれているとかねてから指摘されている地域。米国は2022年6月に「ウイグル強制労働防止法」を施行し、同地区が関わる製品は原則として輸入を禁止する方針をとっている。SHEINが上場を目指すうえで、新疆ウイグル自治区での強制労働にまつわる疑いは無視できない問題と言えるだろう。
11月下旬に明らかとなったSHEINによるIPO申請。2024年には上場する可能性があるとされる一方、関連するトラブルや批判も後を断たない。今後どのように展開していくのか、引き続き注目される状況は続くだろう。