中国南京大学が中心に行った家族親戚づきあいに関する調査で、「親戚とどのくらいの頻度で連絡を取るか」を調べたところ、年齢が若くなるにつれて親戚づきあいが少ないことが明らかになった(次のグラフ、項目間で年齢の重複があるのは元記事のママ)。
「頻繁」「非常に頻繁」と回答した人が、40歳以上ではが大多数を占める一方で、30歳以下では割合がぐっと減り、18歳以下はゼロで「ほとんど連絡しない」が過半数を占める。
中国社科院の2021年の調査や新華社通信の調査でも、「若年層の20%近くが1年以上親戚づきあいをしていない」「70%近くの若年層が親戚や家族史を知らない」という結果が出ている。では、なぜこのような変化が生まれているのだろうか。
大都市と地方での環境や価値観の差
その要因の一つが、大都市と農村とでの社会環境の差だ。中国における経済の高度成長が始まった1980年、都市部の人口は全体の約20%ほどだったが、2021年には64%に跳ね上がっている。都市部への移住は、土地でつながっていた親戚の付き合いが途絶えるきっかけを生み出した。
さらに、故郷の両親や親戚と離れて暮らす人が増えることで、核家族化が進行した。1980年代は1世帯あたり4.4人だったが、2010年代には3.1人にまで減っている(次の表)。
家族あたりの子供の数の減少は、兄弟の人数が少ないことを意味し、それは親戚の人数が少なくなることにつながっている。子供の数の減少は、これまでの一人っ子政策だけでなく、子供一人にかける教育養育費の増加も大きな要因として考えられる。
現在中国の大都市では、子供一人を大学まで行かせるのにかかる平均費用が、80万元(約1600万円)以上と言われている(「上海养个孩子到初中要花80万?看这份调查报告怎么说」)。
「子供への教育は将来への投資だ」「大都市こそ子供の教育にふさわしい」という考えが広まっている現状では、大都市への人口の集中と核家族化の進行はさらに進むだろう。そして、「兄弟がいない」という人が今後増えていくことで、親戚の数も間違いなく減っていくことになる。