・伝統的に「大家族主義」であった中国でも、年齢が若くなるにつれて親戚づきあいが少なくなっている。
・その要因の一つが、大都市と農村とでの社会環境の差、そして価値観の差だ。
・従来家族や親戚が担っていた、精神的なつながりや経済的な助け合いは、さまざまな立場の人たちが代わりを果たしている。
(青木 暁人:中国在住ビジネスマン)
中国は伝統的に「大家族主義」だ。祖父母やおじおばにそれぞれ別々の呼び方があるほか、地域によっては同じ姓を持つ人をすべて親戚扱いするなど、日本以上に親戚づきあいの幅が広い。一族の出身地を「祖譜」という一種の家族史を記録する文化も残っている。春節(旧正月)に大規模な帰省客で鉄道などが大混雑するのも、それが理由だ。
中国人社会では、自分だけでなく一族の出身地にも敬意や愛着を持つことが一般的だ。企業においても血縁や地縁は重要視される。
「断親」という新語が生まれた
このような中国社会に、近年新しい言葉が生まれた。親戚とのつながりを断つという意味の「断親」である。
社会の発展に伴い、家族や親戚とのつながり方が変わるのはどこの国でも一般的だ。