中国の習近平国家主席(写真:新華社/アフロ)
  • 中国は世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数で107位。習近平政権前より大きく後退したものの日本の125位より上位に位置する。
  • だが、習近平政権が掲げる「女性は家庭に戻り、子供を産み育てよ」という方針を見れば、中国では女性の権利が踏みにじられていることは明らかだ。
  • 一方、習近平の妻・彭麗媛が政治局メンバー入りするという噂が流れている。だが、これは女性の権利向上の象徴ではなく、第2の江青(毛沢東夫人)化となって、むしろ習ファミリーによる独裁に変わる危険性をはらむ。

(福島香織:ジャーナリスト)

 中国共産党が指導する唯一の公式な女性団体、中華全国婦女聯合(婦女聯)の5年に1度の全国代表大会(総会)が10月下旬に開催された。この総会で新主席として諶貽琴(国務委員)が選出され、新たな婦女聯指導部が誕生した。婦女聯の新指導部発足後、党中央指導部として習近平が彼女らに強調して指導したことは、女性の家庭回帰だ。

 2023年のグローバル・ジェンダーギャップ指数(世界経済フォーラム)で中国は146カ国中、107位。習近平政権になる前の2012年の69位より大きく下落しているものの、日本の125位よりは高い。中国女性の政治経済への進出度は日本より進んでいるとみられていたが、果たして中国は女性をめぐる環境は、今後変わっていくのか。

 習近平が婦女聯新指導部に対し10月30日に行った講話のポイントを簡単に要約すると、次のようになる。