- バイデン米大統領が11月20日、81歳の誕生日を迎えた。一方、来年の大統領選に向けた共和党候補指名争いでトップを走るトランプ前大統領も77歳だ。
- 2人は健康をアピールするものの、高齢による認知力の低下を懸念されている。だが、問題はそれだけではない。
- 「国のため」という大義名分があるのなら暴力も容認する国民が増えており、米国が「ファシスト国家」化しているとの見方がある。
(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)
バイデン米大統領は11月20日に81歳の誕生日を迎え、現役大統領としての最高齢記録を更新した。バイデン氏は自らの健在ぶりを改めてアピールしたが、来年の大統領選をめぐって有権者の間には「再選を目指す同氏はあまりに高齢ではないか」との懸念が広がっている。
9月半ばのロイターの調査によれば、回答者の77%が「バイデン氏は大統領としては高齢過ぎる」との見方を示し、「同氏が大統領の職務を遂行する上で十分なほどの俊敏さを備えている」と答えたのは39%にとどまった。
一方、大統領選の共和党候補指名争いで先頭を走るトランプ前大統領も77歳だ。
高齢の大統領や候補者が続く理由として、米国民自体の高齢化が指摘されている。2020年の大統領選では65歳以上の有権者が初めて4分の1を超え、その投票率は70%超とダントツだ*1。
*1:「至高権力者」の賞味期限(9月2日付、日本経済新聞電子版)
加齢によるさまざまな現象を研究する「加齢学」の知見によれば、70歳代で認知力が急低下する人々が多い。
バイデン氏の「老い」を感じさせるエピソードは枚挙のいとまがないが、トランプ氏にも同様の症状が現れている。
トランプ氏は11月11日にニューハンプシャー州クレモントで行った演説で、現職の米大統領の名前を間違えた発言(バイデン氏ではなくオバマ氏と述べた)の動画が出回り、ソーシャルメディアで笑いものになっている*2。
*2:ドナルド・トランプ、現米大統領が誰かも分からず...堂々と間違えネット爆笑...口にしたのはまさかの「あの人物」(11月13日付、ニューズウィーク日本版)