飢餓を「戦争の武器」にする卑劣さ
ガザでは電力や燃料も止められている。ロイター通信によると病院の貯水槽や井戸すら攻撃され、病院に残された人々が「やっとの思いで生き延びている」という。トゥルク氏は市民に必要とされる10%程度の食料しか届けられず、燃料不足によりガザのパン屋が全て稼働していない状況など、人々が飢餓に瀕しかねない切実な実態を訴えた。
英高級紙タイムズは国連の声明が発表された同じ日、終わりの見えない戦闘に巻き込まれ、食料を求めて街をさまよう人々を追ったルポを掲載した*3。店に行っても商品が跡形もなく、言葉を失う女性。子どもには戦争の現実を知られないよう、パン屋が休みだと嘘をつかざるを得ない苦しい胸中を語っていた。パンが買えないために、ようやく手に入れた小麦粉で、共に避難をしている40人もの家族や親戚のために焚き火でパンを作ろうと試みる男性もいる。過酷な状況下で必死に生き延びようとする人々の生活を詳報している。
*3:Gazans in desperate search for food(THE TIMES)
国際NGOのオックスファムは10月25日の声明で、「世界中が見つめる中で何百万人もの民間人が集団的に処罰されており、飢餓を戦争の武器として使用することは、正当化はできない」と非難している*4。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリーニ事務局長は最近のガザ訪問時、幼い子どもたちが、一口の水やパンが欲しいと懇願していた、と証言している。
*4:Starvation as weapon of war being used against Gaza civilians (Oxfam)

イスラエルによる市民への攻撃は、怪我や病気を治療したり、戦闘で自宅を追われ避難したりする病院にまで及んでいる。15日にはガザ最大のシファ病院に、ハマスの拠点があるなどの名目で攻撃を行った。病院で軍事作戦が強行されたことに、世界保健機関(WHO)やユニセフなど、国連の各機関は相次いで憂慮の念を表明した。この作戦の数日前には、既に病院の発電機などへの攻撃によって保育器への電力供給ができず、少なくとも3人の早生児が亡くなっているとも報じられていた。