こうしたもたれあいの構造は損保ジャパン1社に限ったことではなく、東京海上日動も、自賠責保険契約奪取のために賞品を掲げて、代理店向けのキャンペーンを行っていたことが明らかになっています(以下の記事参照)。
(参考)ビッグモーター事件で浮上した疑問、損保の「指定工場」を信用していいのか 工賃の二重価格、大手販社への優遇…損保と自動車修理業界の裏側の真実
ここでひとつの疑問がわきます。そもそも、損保各社は営利企業でありながら、なぜ、利益のまったく発生しないはずの自賠責保険がそれほどほしいのでしょうか。
そこで、東京海上日動に改めて、「損保会社が受け取る社費においても、ノーロス・ノープロフィットという原則があるのですか?」と質問したところ、以下の回答が返ってきました。
「ご認識の通りです。社費についても、単年度ごとに発生した黒字や赤字は、その全額を責任準備金に積み立てることになっており、保険会社の利益にはなりません」
では、損保各社に支払われる「社費」は、いったい何を根拠に積算され、どのように使われているのでしょうか。残念ながらそれを検証しようにも、「社費」の具体的な算出根拠については表に出ておらず、なかなか見えてこないのが現実です。
国会でも取り上げられた自賠責の「社費」
そんな中、つい先日、国会でこの問題が追及されました。
2023年11月10日に行われた衆議院国土交通委員会で、立憲民主党の神津たけし議員が、自賠責保険の「社費」についての質問を行ったのです。
ところが、国会議員が算出根拠について繰り返し質問しているというのに、国は具体的な資料を示すことはありませんでした。
以下、一部抜粋します。