中国の習近平国家主席が側近の粛清を始めている?(写真:共同)
  • 中国で習近平国家主席による大粛清が始まっているとの噂が絶えない。外相は不倫で解任され、国防相も失脚したとされる。
  • そんななかチャイナウォッチャーが注目するのが李強首相だ。先日から、李強首相の妻や娘に関する情報がネットを駆け巡っている。
  • その真偽は不明だが、そもそも独裁下で側近中の側近のゴシップがこれほど流布されること自体が異常事態。習近平体制は末期症状なのか。

(福島 香織:ジャーナリスト)

 習近平が自らお気に入りの部下たち、親信(側近)を粛清し始めた。2022年12月に外相に就任したばかりだった秦剛が「生活作風」問題(不倫し、その相手が米国で出産)で外相職を解任されたのが7月*1。今年3月に国防相兼国務委員に就任したばかりの李尚福失脚と伝えられたのが9月*2。では次は誰が失脚するのか、とチャイナウォッチャーの間で注目されているのが李強首相だ。

*1消えた中国外相・秦剛、不倫相手と噂される美人キャスターはダブルスパイ?(7月21日付、JBpress)
*2中国国防相も失脚?不倫の外相に続く解任説も、習近平による解放軍大粛清か(9月22日付、JBpress)

 というのも先日から中国のネット上で李強の妻や娘の腐敗の噂がにわかに広がっているのだ。
 
 ネット上で拡散されているのは、中国前線というブログに書き込まれた、李強の妻と娘の経歴や写真だ。この情報の真偽については私も自信がない。李強ファミリーの情報は、考えてみればほとんど公にされていないのだ。

 だが、完全にフェイクとは言い難い情報も含まれているとみられ、多くのチャイナウォッチャーが注目している。どういう噂が広がっているのかを、簡単にみてみよう。

 まず、李強の妻に関して流布されている情報には、経歴のほか、戸籍情報、保有する不動産の価値などが含まれている。李強は浙江省官僚時代に民営企業振興に力を入れ、アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)をはじめ、浙江民営企業家たちとの関係が深いことは良く知られている。そうした李強の人脈に背景には、中国大企業トップや幹部らと華麗な人間関係を持つ妻の影響があったとも指摘されている。

 李強の娘についても、妻と同様に経歴や人脈について詳細な記載がある。注目されるのが、欧米企業との密接な関係を指摘している点だ。

 こうした妻や娘に関する情報が事実なら、李強は西側企業と癒着した腐敗官僚として失脚させられる可能性は十分にあると言える。だからこそ、チャイナウォッチャーが目を皿のようにしてこのブログを分析しているのだ。