仙台市・定禅寺通のケヤキは樹齢70~80年

 まずは仙台市の街路樹の歴史について聞いたことをまとめる。明治20年に仙台駅が現在地に設置された際に、関連する道路が拡幅されてそれを契機に街路樹が植えられ始めた。

 しかし、第二次世界大戦時の仙台空襲で、まちの緑のほとんどが失われた。その後、戦災復興土地区画整理事業に基づき、都心部での街路植栽による緑化が計画的に行われた。

 定禅寺通には、現在では仙台市のシンボルとなっているケヤキが昭和33年頃から植えられ、今では樹齢70年から80年の樹になっている。

 定禅寺通の並木は「保存樹林」に指定されていることから、市は今後も保全していくとしている。枯れてしまったり、回復が見込めないほど樹木の状態が悪くなったら復植していくとのことだ。

戦後復興の過程で整備された仙台市・定禅寺通の並木。ベンチが置かれ、市民の憩いの場となっている(写真:SHOHO IMAI/a.collectionRF/アマナイメージズ/共同通信イメージズ)

仙台市が街路樹を維持できているのはなぜか

 では、仙台市が良好な街路樹を維持できている要因は何だろうか。思いつく限り挙げ、それぞれについて順に聞いてみた。

  1. 市役所・担当課に、街路樹を維持するという「理念」と「技術」が継承されている
  2. 観光資源としての価値が広く認識されている 
  3. 街路樹を伐採・強剪定してほしいという市民の声が少ない
  4. 街路樹に携わる人員が多く、管理予算が潤沢にある

 仙台市では、良好な街路樹を維持することが市役所や担当課の意識のなかに強くあるのか。職員にそれが共有されているとしたら、どのようにして共有されているのか。この点を聞いてみたところ、以下の回答があった。
 
「本市のまちづくりの基本となる仙台基本計画においてまちづくりの理念として、『挑戦を続ける、新たな杜の都へ ~“The Greenest City”SENDAI~』を掲げており、この理念のもと、みどりをまちづくりの重要な資源として各職員が様々な部署で業務を行っています」

 理念の次は技術の問題である。仙台市ではどのようにして街路樹管理の「技術」を担保しているかを尋ねたところ、以下のような回答があった。

「地元業界団体である『宮城県造園建設業協会』が実施している剪定講習会(年2回)に本市職員も参加しており(講師としての参加及び経験の浅い本市職員は講習を受ける側として)、受発注者間の共通認識の下で街路樹の維持管理が適切に行われるようにしています」

 発注者(自治体)と受注者(剪定業者)が街路樹の維持管理について共通認識をもつというのは特に大事なことだろう。