強調する必要があるのは、これは日本の門戸突破の成功を意味するものでは決してないということだ。日本は必ずや、このことがもたらす予測を超える代価を支払うことになるだろう。その一部は短期的には見定めのつかない代価、もしくはもっと厳重なものだ。
これは日本のアジア太平洋地域全体の利益に対する巨大な障害となるだろう。国際道義上の抹消できない永久の汚点であり、海洋生態問題上も長期にわたって下ろせない責任を負うものだ。日本国民を含むすべての国際社会は、この問題に対して日本に対し、無期限の攻撃と責任追及を行ってしかるべきだ。
換言すれば、日本は追訴が時効にならない公共犯罪行為を行ったのだ。その最終的な発見は、今日の決定が賠償できないほどのものだということだ……>
このように、日本がまるで「戦争犯罪」でも犯したかのような、ものすごい論調なのである。
「240日後、中国に核汚染が押し寄せる」
中国のSNSやインターネット上でも、この問題は百花繚乱の記事や主張が飛び交っている。一例を示せば、「核汚染が240日後に中国に押し寄せる!」という誹謗が、大々的に流布し、多くの人々に読まれている。
これは2021年11月26日、英オックスフォード大学が発行する『ナショナル・サイエンス・レビュー』誌に、中国人の5人の学者(劉毅・郭雪卿・李孫偉・張建民・胡振中の各氏)が連名で寄稿した論文だ。
タイトルは、「福島原発事故で処理された汚染水の放出:巨視的・微視的なシミュレーション」。そこでは以下のような論を展開している。
<マクロシミュレーションの結果、汚染物質排出の初期段階では、汚染地域は急速に増加し、30日以内に緯度40°×経度120°に達することが明らかになった。海流の影響で、汚染物質の拡散速度は、経度方向よりも緯度方向の方がかなり速くなる。
放出から1200日後、汚染物質は東方と南方に拡大し、北米とオーストラリアの海岸に到着。北太平洋地域のほぼ全体を覆う。その後、これらの汚染物質は、赤道海流に沿ってパナマ運河に移動し、南太平洋に急速に広がる。2400日以内に、太平洋への拡散とともに、汚染物質のごく一部が、オーストラリアの北の海域を通ってインド洋に広がる。
3600日後、汚染物質は太平洋のほぼ全体を占めるようになる。日本列島付近では汚染物質の排出が起こるが、時間の経過とともに、汚染物質濃度の高い海水が、北緯35度に沿って東に移動する……>
この論文に添付された資料によって、「放水から240日(8カ月)後に、中国に核汚染水が押し寄せる」と煽っているのだ。普段なら、こうしたおどろおどろしい主張を「秒殺」(1秒で削除)している中国当局も、黙認の状態だ。
今月12日に、日中平和友好条約45周年を祝ったばかりだが、そんなものは吹っ飛んでしまった。これから始まるのは、福島を巡る「日中外交戦争」である。もしかしたら、14億中国国民も「動員」されるかもしれない。