「より危険で予測不可能なロシアと戦わなければならない」
ロシア情勢に詳しいカーネギー国際平和財団ロシアユーラシア・センターのタチアナ・スタノバヤ上級研究員は米外交雑誌「フォーリン・アフェアーズ」に「プーチンのカオスの時代、ロシアが無秩序に陥る危険性」と題して寄稿し「プリゴジンの蜂起は世界の注目を集め、モスクワのエリートたちを深く動揺させた」と指摘している。
「事態は迅速に収拾されたが、モスクワの多くの人々はプーチンの危機管理を理解できずにいる。昨年2月、プーチンがウクライナ侵攻を開始した後、ロシアのエリートは戦争によって国内は何も変わらなかったかのように振る舞った。作戦が頓挫し、西側諸国がロシア経済への制裁を強化する中でもモスクワの権力者たちはいつも通りを貫いているように見えた」
「ロシア国内では新たな前線が開かれている。正体不明の襲撃者たち(ウクライナの治安組織に関係している可能性が高い)がドローンでモスクワを攻撃した。準軍事組織が国境を越えてロシアのベルゴロド州に突入した。そして最も衝撃的だったのはプリゴジンの反乱だ。これらの出来事は現代ロシアでは前例のないことだった」
スタノバヤ氏は「プリゴジンの反乱は状況を極限まで悪化させ、より急進的でタカ派的で冷酷な国家の出現に道を開くかもしれない。クレムリンの弱点の暴露は必ずしも反旗を翻させ、政権を崩壊させることにはならない。プーチンが築き上げた秩序はより無秩序になり、世界はより危険で予測不可能なロシアと戦わなければならなくなるだろう」と指摘している。