宿営地は大会に合わせて急造された埋立地で塩度が高く、木一本植えられず、多様な植物のつるで作られる予定だった「つるトンネル」も失敗で終わった。

 つまり40度近い真夏の蒸し暑さを避けられる日陰は全く用意されていなかったのだ。

トイレも圧倒的に不足、シャワーブースは簡単に覗ける作り

 4万3000人の大会参加者が使わなければならないトイレは全部で354個、シャワーブースは381個に過ぎず、管理もめちゃくちゃだった。トイレは水が流れないせいで汚物と悪臭で充満し、外から覗けるほど雑然と作られた簡易シャワーブースではセクハラ騒動も発生した。

 配給された給食では腐った卵が発見されるほど粗悪で、大会会場内に設置されたコンビニでは氷やミネラルウォーターが品切れになるなどの品不足も露呈。大会2日目の3日午前まで200人を超える熱中症患者が発生し、虫に刺されるなど負傷者も千人近く発生したが、派遣された医療スタッフは170人余りに過ぎず、確保された病床は50床余りで、患者たちが床に横たわっている写真も公開された。

 当然のことながら、参加した子どもたちは家族に苦境を訴え、その連絡を受けた父兄たちから運営側に心配と非難の声が殺到した。また最多参加国である英国は8月5日、自国の隊員4500人全員をセマングムから撤収させて首都圏に移動。続いて米国も自国の隊員たちを平沢の米軍基地に移動させた。

 大会の安全性と衛生をめぐる非難が殺到すると、世界スカウト機構は緊急会議を開き、本大会の早期閉会を議論した。それほど危機感は高まっていた。

韓国で開かれた世界スカウトジャンボリーでは猛暑のため体調を崩す参加者が続出した(写真:ロイター/アフロ)