首相が現場入りしてトイレ掃除

 事ここに至って、韓国政府もようやく積極的対応に出た。中央政府から韓悳洙(ハン・ドクス)首相が大会組織委員長の女性家族部長官と行政安全部長官を同伴して、急いで現場に駆けつけて常駐し、首相が直接トイレ掃除まで行った。

8月5日、開催中の世界スカウトジャンボリーについて記者会見する韓悳洙首相。後日、韓首相は開催地入りし、不衛生と悪評がたったトイレの掃除を自ら行った(写真:AP/アフロ)

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は現場にエアコンが設置されたバスと氷とミネラルウォーターなどの食料を積んだ冷凍塔車を無制限に供給するよう指示し、現場には大規模な医療スタッフが緊急投入された。サムスンをはじめとする大企業から大会参加者のための各種物品支援が殺到し、現場のカオスは次第に落ち着いた。

 だが、台風6号が朝鮮半島に上陸してセマングムを通過するという予報が出ると、世界スカウト機構と組織委員会は早期撤退を決定し、8日午前、韓国の中央政府と自治体が1000台余りのバスを動員して参加者を韓国全域に分散移動させた。仏教界とキリスト教界は大会参加者の宿泊のために宗教施設を無償で提供し、大企業も自社の研修施設を宿舎として提供した。この時からセマングムジャンボリーはコリアジャンボリーに変質し、野外アクティビティは企業と自治体が提供する観光と公演観覧などに代替されてしまった。

 閉会式はソウルの上岩ワールドカップ競技場で開かれ、閉会式行事として行われたK-POPコンサートではNCT DREAM、IVE(アイブ)、NewJeansをはじめとするK-POPスターが総動員された。スケジュールが合わなかったBTSは、8億ウォン相当のフォトカードを参加者全員に提供した。こうして、企業とK-POPスターがジャンボリーの後始末を担当し、大会は何とか事故なく無事に幕を閉じた。

世界スカウトジャンボリーの閉会行事として「K-POPスーパーライブ」が開催され、人気のK-POPアーティストが多数参加した。写真はNewJeans(写真:アフロ)