X(Twitter)やFacebookなどのSNSではフェイクニュースなど虚偽の情報も氾濫している(写真:AP/アフロ)

 SNSが普及し誰もが情報を発信できる時代になった。さらに、ChatGPTをはじめとする生成AI(人工知能)の登場で多様なコンテンツが猛烈な勢いで生み出されている。「フェイクニュース」など偽情報も氾濫し、何が正しい情報かどうかの判断はますます難しくなった。そんな「情報爆発」の時代をどう生き抜くか。テクノロジーによる「報道の機械化」に取り組むJX通信社の創業者、米重克洋氏が2回に分けて指南する。前編は「陰謀論」にはまりやすくなっている背景を分析する。

(*)本稿は『誰にも「脳」を支配されない シン・情報戦略』(米重克洋/KADOKAWA)の一部を抜粋・再編集したものです。

後編:ChatGPT報道でSNSに負けた「知の王者」新聞、情報爆発時代の正しい情報源は?

 現代は「マスコミが発信する時代」から「消費者が発信する時代」へと、その情報流通が大きく変化している。消費者が発信するということは、言い換えれば誰もがメディアになれる時代になったということだ。それには良い点と悪い点、つまり「光と影」がある。

米重克洋(よねしげ・かつひろ) JX通信社 代表取締役。1988年(昭和63年)山口県生まれ。学習院大学経済学部在学中の2008年に報道ベンチャーのJX通信社を創業。「報道の機械化」をミッションに、国内の大半のテレビ局や新聞社、政府・自治体に対してAIを活用した事件・災害速報を配信するFASTALERT、600万DL超のニュース速報アプリNewsDigestを開発。他にも、選挙情勢調査の自動化ソリューションの開発や独自の予測、分析を提供するなど、テクノロジーを通じて「ビジネスとジャーナリズムの両立」を目指している。
X(Twitter) アカウント(@kyoneshige)

 ここでは、まずその「影」の部分として「デマ」や「フェイクニュース」の拡散、流通に注目したい。事実に基づかない虚偽の情報、不確かな情報が大量に流通することで、時に私たち一人ひとりの健康や生命、財産にまでリスクがもたらされ、あるいは社会に重大な分断がもたらされることで回り回って社会全体にまで負の影響をもたらし得る。

 あなた自身が、あるいはあなたの家族や友人がそうした類の情報に惑わされ、騙されないようにするためにはどのようにすべきだろうか。ここでは、数あるデマのジャンルの中でも最近特に流通が目立つ「陰謀論」を題材に考えてみたい。