ここ数年の急激ともいえる最低賃金の上昇は小売店舗など中小企業の経営を圧迫してきた(写真はソウルの繁華街、明洞)

 わずか5年でこれほどまでに変わるとは・・・。

 韓国の経済閣僚経験者も驚いた。韓国の2024年の最低賃金が2.5%、240ウォン(1円=9ウォン)の引き上げで決着したのだ。

 消費者物価上昇率見通しにも及ばない水準となった。

 2023年7月19日未明、徹夜で論議を続けてきた韓国の雇用労働部の諮問機関である「最低賃金委員会」は、使用者側と勤労者側が提示した2024年の最低賃金案について投票を実施し、使用者側案で決着した。

時給26円引き上げ

 最低賃金は業種を問わず全国一律で9860ウォン、引き上げ率は2.5%、引き上げ額は240ウォンだった。2024年1月1日から実施となる。

 円換算で時給26円の引き上げだった。

 2.5%という引き上げ率は新型コロナの直撃を受けていた2021年の1.5%以来の低い水準だ。

 最低賃金委員会は、使用者側9人、勤労者側9人(1人は空席)、中立の専門家9人で構成する。

 使用者側委員は韓国経営者総協会、中小企業中央会、小商工人連合会などの代表、勤労者側委員はナショナルセンターである全国民主労働組合総連盟(民主労総)、韓国労働組合総連盟(韓国労総)幹部、中立委員は大学教授や政府系シンクタンクの研究員などだ。

 この26人が5月2日から論議を続けてきた。

 当初、勤労者側は20%近い引き上げ案を提示した。金額にすると1万1500ウォンだった。

 これに対して使用者側は2%引き上げた9820ウォンを提示、激しいやり取りが続いた。

 韓国メディアの注目点は初めて最低賃金が1万ウォンを超えるかどうかだった。4%引き上げになれば1万ウォンを上回る。