ルカシェンコは次のように判断した。

「私もプーチン大統領も状況は収まると思っていた。しかし収まらなかった。最前線で戦ったショイグとプリゴジンが互いに敵対することになった。私はショイグの仕事ぶりも知っている。彼は時に不当に批判される。プリゴジンはショイグに似ていて、性格は非常に衝動的だ。それが発火点だった」

「ワグネルの進軍を止める必要がある」

「プリゴジン、血を流すな。流血はするな。故意であろうとなかろうと民間人を殺したら、それで終わりだ。あなたとは交渉しない」とルカシェンコはプリゴジンを説得し続けた。交渉は6~7回に及び、一日中続いた。

 プリゴジンは最後に折れた。「私はプーチン大統領にショイグとゲラシモフを寄こせとは要求しない」

 プリゴジンは「次はどうする?」と尋ねてきた。ルカシェンコは「ワグネルの進軍を止める必要がある」と答えた。ルカシェンコはロシアの指導者たちと連絡を取り、ワグネルを攻撃しないよう約束させた。プリゴジンには「あなたをベラルーシに連れて行き、ワグネル戦闘員の絶対的な安全を保証する」という条件を提示した。

「夕方には交渉は終わりに近づいていた。モスクワから200キロメートル離れた地点に防御線がすでに構築されていたため、時間に追われていた。クレムリンとその近郊に警察官や軍人が集められていた。約1500人の警察官と1万人ほどの兵士がいた。ワグネル戦闘員がこのラインで彼らと衝突すれば、流血が起こるのではないかと恐れた」とルカシェンコは言う。