興奮しているプリゴジンを説得するのに時間がかかった。ルカシェンコは最後に「誤解しないでほしい。われわれはベラルーシ軍の旅団をモスクワに送る準備はできている。1941年と同じようにわれわれはモスクワを守る。なぜなら、この状況はロシアだけで収まるものではない。反乱がロシア全土に広がれば、次はわれわれの番だ」と通告した。

「ワグネルは蜂起する術を知っている」

 一方、ルカシェンコはプーチンに対して「プリゴジン殺害は可能だ。一度目は失敗しても二度目は必ずできる。しかし殺害はするな。交渉が成り立たなくなる。ワグネルはアフリカ、アジア、ラテンアメリカで戦ってきた強者だ。彼らは蜂起する術を知っている。彼らも排除可能だが、ワグネルと戦う者たちとともに何千人もの民間人が死ぬことになる」と警告した。

「ワグネルは訓練された精鋭部隊だ。誰がこのことに疑問を持つだろうか。ベラルーシの軍人はこのことを理解している。ベラルーシにはさまざまな場所で複数の戦争を経験している人間はいない。したがって決定を下す前に、次に何が起こるかを考えなければならない。鼻の先まで見なければならない」とルカシェンコは慎重に考えた。

 プリゴジンは「われわれはモスクワに進軍する。忠実に戦ってきたわれわれには正義が必要だ」と言い張った。「ロシア軍の正規軍とワグネルの間で、ある種の競争が始まった。不健全な競争だった。よく知られた人間同士の対立が、このような戦いに発展した」