「プリゴジンは電話にも出ないし、誰とも話したがらない」

 ルカシェンコによると、ロシア連邦保安庁(FSB)、ベラルーシ国家保安委員会(KGB)とイワン・テルテリ議長を通じて、プーチンが電話会談を求めてきた。プーチンは午前10時に国民向けに演説し、その10分後にルカシェンコに電話をかけてきて、ロシアで展開している状況を説明したという。

「私が見たところ最も危険だったのは状況そのものではなく、それがもたらす深刻な結果だった」。ルカシェンコはプーチンに処罰を急ぐより、プリゴジンやワグネルの指揮官と話すことを提案した。

 プーチンはお手上げだと言わんばかりにこう答えた。「聞いてくれ、無駄なことだ。プリゴジンは電話にも出ないし、誰とも話したがらない」

民間軍事会社「ワグネル」創設者のプリゴジン(提供:Wagner Group/ZUMA Press/アフロ)

 ルカシェンコが「彼はどこにいる?」と尋ねると、プーチンは「ロストフだよ」と答えた。「悪い平和はどんな戦争よりもましだ。プリゴジンに連絡してみる」というルカシェンコに、プーチンは「無駄だよ」と首を振った。ルカシェンコとプーチンは30分ほど状況について話し合った。

 プーチンはウクライナ軍の反攻について「奇妙に聞こえるかもしれないが、前線の状況は以前より良くなっている」と言った。「悪いことばかりではないんだ」とルカシェンコは応じた。時計の針は午前11時を指していた。「どうやってプリゴジンと連絡を取ればいい? 電話番号を教えてくれ」。プーチンは「FSBが電話番号を知っているだろう」と答えた。