(英フィナンシャル・タイムズ紙 2023年6月14日付)

僅差でブレグジットを決めてしまった英国議会は結果の責任を負わなければならない

 6月初めの週末にどこかで読み、「一理ある」と思った。

 ある同僚から聞かされた時には、「OK、まあ分かるけど・・・」と口ごもった。

 ノンポリの友人たちが口にするのを聞いた頃には、この考えはあまりに広まっているため、根拠が疑わしいに違いないことが分かった。

 これは、市民社会について言うなら英国は米国より健全だという主張だ。そしてボリス・ジョンソンの議員辞職がその証拠として挙げられる。

 まず、英議会の保守党議員は米議会の共和党議員ほどとち狂っていないことは認めよう。

 例えば、ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)を支持する右派の政治家でありながら、ジョンソンの責任を問う特権委員会の良心的なメンバーであるバーナード・ジェンキンを称賛するといい。

 もし政治機構を歴史上のある時点の中道右派政党の振る舞いで評価するのであれば、英国は勝つ。

 だが、一体なぜそのような条件で判断するのか。ほかに検討すべきことを以下にいくつか挙げる。

米国はトランプを落選させたが・・・

 米国は選挙でドナルド・トランプを大統領の座から追い落とした。英国はジョンソンに同じことをしていない。

 というのは、そのチャンスがあった時に、ジョンソンがジェレミー・コービン(労働党)という自分よりダメな候補と戦っていたからだ。

 普通選挙制の導入以来、英国で最悪の選択となった2019年のあの選挙は、現代の米国には比較対象になる事例がない。

 米国の二大政党には、倫理的なスキャンダルの泥沼に同時にまみれる傾向がない。英国の二大政党には、その傾向があった。