(英フィナンシャル・タイムズ紙 2024年4月16日付)

イランからのドローンやミサイルを迎撃するイスラエル軍(4月14日、写真:ロイター/アフロ)

 昨年10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃して以来ずっと、米国は2つの重要な目的を追求してきた。

 1つ目はイスラエルに「鉄壁」の支援を提供すること。2つ目は米国を巻き込むような大きな地域戦争を防ぐことだ。

 だが、これら2つの目標には緊張関係が潜んでいる。そして、この緊張が今、限界に近づいている。

「鉄壁」の支援が意味すること

 問題は、鉄壁の支援はイスラエルへの白紙委任状と解釈できることだ。

 つまり、いざとなれば米国が援護に駆けつけてくれることを確信し、適切と思う軍事行動を何でも取っていいという了解だ。

 これは潜在的に、米国が阻止しようとしている地域戦争そのものを始めるリスクを取る許可をイスラエルに与える。

 イスラエルはシリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館施設に攻撃を仕かける際、米国に事前に通告しなかった。

 イランは当然のように対抗措置を取り、イスラエルをめがけて前代未聞の量のミサイルとドローン(無人機)を発射した。

 そして今、バイデン政権はイスラエルが次のエスカレーションに向かうのを必死に止めようとしている。

 ある米政府高官が言うように、「問題は双方が最後のパンチを放ちたがっていることだ」。