(湯之上 隆:技術経営コンサルタント、微細加工研究所所長)

海外半導体大手7社のトップと岸田首相が面会

 5月19日に始まる主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて海外の半導体大手7社のトップが来日し、その前日の18日に、岸田文雄内閣総理大臣と面会した。

 その7社とは、ファウンドリの世界シェア1位で最先端の微細化を独走する台湾TSMC、メモリの世界シェア3位の米マイクロン(Micron)、プロセッサの世界シェア1位の米インテル(Intel)、メモリ世界シェア1位、ファウンドリでも世界シェア2位の韓国サムスン(Samsung)電子、半導体製造装置の売上高世界1位の米アプライドマテリアルズ(AMAT)、「2027年に2nmを量産する」と発表した日本のラピダス(東京都千代田区)に技術協力する米IBMと欧州のコンソーシアムimecである(図1)。

図1 2023年5月18日に岸田首相と面会した世界半導体大手のトップ

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 このような海外の半導体大手企業等が一堂に会するのは異例である。これら海外大手7社等をズラリと見ると、非常に豪華な顔ぶれであると言えよう。

 また、これら欧米韓台の対日投資は、既に明らかになっている事業計画を合わせると、2兆円を超える見込みである。そして、これらの対日投資は、日本政府からの強い働きかけによるものであるという。経済産業省は、国内の半導体の売上高を現在の3倍の15兆円にするという計画を掲げており、そのために2年間で2兆円の補助金を投じるとしている(日本経済新聞、5月19日)。

「海外からの対日投資が2兆円で、日本の補助金が2兆円」ということは、ざっくり言うと、海外企業などが対日投資を行う場合、その半分を日本が補助するということである。この財源は税金である。となると、日本の補助金2兆円が、「国内半導体の売上を2030年までに3倍の15兆円にする」ことに資するものかどうかが問題になる。本稿では、それを検証したい。