ラニーニャの影響も残れば「多雨+酷暑」のダブルパンチ

 では、スーパーエルニーニョが発生すると何が起こるのか? まず日本では、エルニーニョの発生した年は冷夏・暖冬になる傾向がある。

 太平洋の西側の熱帯域では、海面水温が低下して積乱雲の活動が不活発となる。このため、日本付近では夏は太平洋高気圧の張り出しが弱くなり、気温が低く、日照時間が少なくなる。一方、西日本の日本海側では降水量が多くなる傾向がある。また、冬は西高東低の気圧配置が弱くなり、気温が高くなりやすい*7

 特に、日本では多雨が引き起こす災害の発生が懸念される。山やがけでの土砂災害、河川の氾濫による洪水、集中豪雨による都市部等での内水氾濫などの発生が予想される。近年、大雨に見舞われた地域では地盤が緩んで、土石流や地滑りなどの発生が報じられることが多いが、スーパーエルニーニョが発生すると、そうした災害や被害がさらに大きくなる危険性がある*8

 自然災害以外にも心配される影響はある。まず、雨続きの天気では、人々の外出が減って消費が低迷する。コロナ禍が一段落して、ようやく旅行やレジャーなどの消費が回復し始めたところに、まさに“水を差す”格好となりかねない。

 また、天候不順で農作物が不作となり、野菜や果物などの価格が高騰する。昨年から始まっているさまざまな品目の物価上昇に、スーパーエルニーニョが輪をかけることとなる。

 日射量が減ることで太陽光発電も進まなくなる。再生可能エネルギーへの転換が滞り、化石燃料の使用量削減が進まない。その結果、温室効果ガスの削減が滞るといった温暖化問題にまで影響が及びかねないのだ。

 もう1つ事態を複雑にしている点がある。2021年から続いていたラニーニャが、今年3月に終息したばかりとされる点だ。

 気象庁によると、まだその影響が残っているため、今年の夏も猛暑になる可能性があるという。また、雨量が例年以上に増える恐れもあるという*6

今夏も日本各地で猛暑が続く可能性も(写真:REX/アフロ)

 スーパーエルニーニョが発生してその影響が出るのか、それともラニーニャの影響が強く残るのか、はたまたそのどちらもなのか──。今年の夏の気候は読みづらいが、気象庁は最新の予報を注視してほしいとしている。