収穫期にはとにかく人手が必要

 こんな具合にほとんど手作業だから、収穫時期が迫ってくると梅農家はまずは人手を集めることから始めるが、やはりここでも人手不足が深刻化している。

「以前は大きな助けになっていた海外の実習生がコロナの影響で日本に戻ってきておらず、どこの農家も人手が足りなくて頭を痛めています。関西の大学生にアルバイトで来てもらっていたこともありますが、いまは応じてくれる人がいなくなりました。

 そりゃあ梅で一杯になれば20キロにもなるプラスチックケースを肩から下げて、見上げるような崖を一日中上り下りする重労働ですからね。起伏がない平地の梅林だと楽でしょうが、そんなところばかりではありません。

 パートの人たちの間で『あそこの梅農家の山はキツイから行かない』なんて噂が立ったら大変です。報酬は時給計算で1200円~1500円ぐらいですね。8時間労働が基本ですから日当は1万円から1万2000円ですが、人手不足のために1万3000~1万4000円出す農家もいるようです。

 パートの方々に頑張ってもらえるように休憩時間に冷たい飲み物を提供したり、昼食の面倒をみることもしたり、半月に1回程度は懇親会と称して飲み会も開きます。それで仕事の効率が上がってくれてパートさんが辞めないでくれれば御の字ですから梅農家も気を使いっぱなしです」

 梅農家も楽ではないらしい。