バイデンもトランプも高齢者、政界を去れ

 トランプ氏の憤りは、デサンティス氏の立候補のお膳立てをしたマスク氏との関係とも関わり合いを持っている。

 マスク氏は、2022年10月27日、ツイッターを買収した直後、トランプ氏のツイッター追放を取り消してくれたことから「緊密な関係」が囁かれた。

 マスク氏は「私は『言論の自由』を重んずる」とツイッターでは誰もが自由に発言できる点を強調していた。

 他方、トランプ氏との関係を取沙汰するメディアもあった。

 ところが2022年7月以降、マスク氏のトランプ離れが表面化した。

「トランプ氏が再選され第2期目を終える時には82歳になっている」

「デサンティス氏が出馬すればバイデン氏には楽勝する。選挙運動などする必要もない」

 さらにその後、マスク氏はこうも述べていた。

「私は共和党に投票したことは一度もない。トランプ氏は帽子を脱いで黄昏に向かって歩むべきだ」

 トランプ氏はマスク氏を「ろくでなし」(Bullshit artist)と一喝。2人の関係は険悪の度合いを増した。

 マスク氏は2023年4月にはFOXニュースのキャスター(当時)、タッカー・カールソン氏とのインタビューでダメを押した。

「トランプ氏をツイッターに復帰させたのは『言論の自由』を守るためだ」

「私は2020年の大統領選ではバイデン氏に票を投じた。バイデン氏が大好きだったからではない。バイデン氏がコモンセンスを持つまともな人間だったからだ」

 マスク氏はこの頃からデサンティス擁立に動き出していたことが想像できる。

Elon Musk Strongly Rejects Donald Trump - TheStreet

 マスク氏から「コモンセスのない人間だ」と言われ、「さっさと政界から消えろ」と言われては、トランプ氏にとってはそのマスク氏が擁立するデサンティス氏は「獅子身中の虫」だった。

「デサンテモニアス」という悪意に満ちた呼び名にはそうした憤りが込められているのだろう。