北朝鮮は、アメリカや国連などから厳しい経済制裁を受けている。そのため外貨が獲得できず、国民にも極貧生活を強いている。にもかかわらず、これまで以上のペースでミサイル発射実験を繰り返しており、「その資金はどこから出てくるの?」と疑問に思う人もいるだろう。

 資金源の一つと目されているのが、サイバー攻撃なのだ。

北の背後で中国とロシアが支援

 アメリカのアン・ニューバーガー国家安全保障担当副補佐官(サイバー・先端技術担当)は先日、サイバー攻撃で荒稼ぎしている金額の半分はミサイル開発や発射実験に使われていると述べた。ちなみに米情報関係者らは、北朝鮮の背後で中国やロシアが支援していると見ている。

 では、その北朝鮮のサイバー攻撃の実態はどういうものなのか。

 ここ最近の北朝鮮政府系と見られるサイバー攻撃集団が標的としているのは、例えば米暗号資産会社やインドの医療系やIT関連分野、IAEA(国際原子力機関)、韓国の軍事関連企業などと幅広い。

 手口としては、韓国企業を狙ってソフトウェアを悪用した攻撃をしかけたり、メッセージングアプリ「WhatsApp」を通して、偽の求人情報をアメリカやヨーロッパのメディア関係者やセキュリティ関係者にばら撒いたりしていることが判明している。こうした攻撃は、さらに大きなサイバー攻撃を行うための下準備と考えられるが、北朝鮮によるこの手の話は毎日のように報告されている。

 それだけに各国とも警戒を強めている。