代理人が張った予防線

 ア・リーグ関係者の1人は「フジナミとアスレチックスの契約内容の詳細は不明だが」と前置きしながら、こう続ける。

「ボラス氏があらかじめ契約内容に『マイナー拒否権』など何らかの条件を付帯させておき、アスレチックス側のフジナミに対する『3A降格』もしくは『DFA』の通達にハードルを設けていた可能性が高いと見られている。なにしろ『剛腕』と称されるボラス氏のことだ。事前にフジナミが開幕早々からアピールに失敗してしまう危険性も睨んで、球団側にリタリング(ポイ捨て)されないように間違いなく予防線を張っていたはず。フジナミはボラス氏が代理人だったことで、かなり救われている」

 5月14日現在でアスレチックスのチーム防御率は7.27。MLB全30球団中、唯一の7点台で壊滅的な数字にまで落ち込んでいる。勝敗も9勝33敗で同じく全30球団中、白星が唯一の1ケタだ。とにかく余りに弱過ぎるチームに在籍していることも今の藤浪にとっては逆にプラス材料につながっている。

 前出の関係者が「アスレチックスがMLB30球団の中で最も投手陣が手薄でウィークポイントになっていることもボラス氏側は事前にリサーチし、フジナミに最適な球団と踏んでいたのだろう」と分析しているのもうなずけるところだ。

 数々の条件が重なって“延命措置”を与えられている中、何とか這い上がってMLBで輝きを取り戻して欲しいと願う日本のファンは多い。今後の藤浪は期待に沿うような大活躍を見せ、ブレイクを果たすことができるのだろうか。全ては本人次第である。