子ギャル(初回限定盤・DVD付)」ジャケット 写真より

(冬将軍:音楽ライター)

90年代から現在までの、さまざまなヴィジュアル系アーティストにスポットを当て、その魅力やそこに纏わるエピソードを紹介していくコラム。今回は音楽はもちろんのこと、あらゆる自己表現において輝きを放っていたアーティスト、hideを取り上げる。(JBpress)

今年はソロデビュー30周年

 2023年5月2日——。hideが旅立ってから25年が経つ。そして、今年はソロデビュー30周年でもある。そんな今、あの7人の怪人たちが再び還ってくるというではないか。hide(Vocal&Guitar)、KIYOSHI(Guitar)、KAZ(Guitar)、CHIROLYN(Bass)、JOE(Drums)、D.I.E.(Keybord)、I.N.A.(Computer&Percussion)、言わずもがな、hide with Spread Beaverだ。

 毎年行われているイベント『hide Memorial Day 2023』として、4月29日 Zepp Osaka Bayside、5月2日 神奈川県民ホール、そして7月27日に豊洲PITで、『hide with Spread Beaver appear!!』と題したワンマライブを行う。スペシャルゲストとして、盟友、PATA(Guitar)を迎えて。

 hide with Spread Beaverは過去に何度かイベントでの出演はあったものの、ワンマンライブは2002年10月に行われた『hide’s PSYCHOMMUNITY Special!!〜Junk Story』(国立代々木第一体育館)以降、実に約21年ぶりである。

 hideというアーティストはエンターテインメント性に長けていた。アート、グラフィック、ファッション……「良い」と思ったモノや人を集めたレーベル「LEMONed」をはじめ、「作れば作るほど赤字になる」といわれたH・R・ギーガーの立体アルバムジャケット、缶切りで開封するスチール缶に入ったスライム漬けのビデオ、そしてテレビの音楽番組に出演すれば、墨汁の雨に打たれながら熱唱する……などなど、hideの奇抜な発想から生まれた独創的なエンターテインメントをあげればキリがない。

 音楽はもちろんのこと、あらゆる自己表現において人を驚かすことの天才だった。このhide with Spread Beaverというこのバンドも、そうしたhideらしいエンターテインメントの象徴である。