(小林偉:放送作家・大学講師)
大河ドラマ史上最多出演の武将
昨年12月18日に最終回を迎えた『鎌倉殿の13人』は大きな話題となり、久々に“ヒット大河ドラマ”になった感がありました。それを証明するように、全話放送後の12月27日に『グランドフィナーレ~「鎌倉殿」の最後の一日』と題した特番(主要キャストが勢揃いして撮影中のエピソードを披露しつつ、最終回の放送を皆で観るという内容)が放送されたり、大晦日の『第73回NHK紅白歌合戦』の第一部の最後に『鎌倉殿』主演の小栗旬が登場し、次作『どうする家康』の主演=松本潤への“公開引き継ぎ式”が催されたりと、異例の扱いがされていましたから・・・。
異例といえば、『鎌倉殿の13人』最終回の冒頭に、松本潤が徳川家康役として登場したことも話題を集めました。この経緯については、小栗旬によると「次の大河に潤の主演が決まった段階から“どんな形でもいいから、旬の作品にちょっとでも参加させてもらえないかな”と希望を抱いていた」そうで、それを小栗が脚本家の三谷幸喜に伝えたところ、三谷から「アッものすごく面白いことを思いつきました」と連絡があったとか。
その“思いつき”が、鎌倉時代の歴史書「吾妻鏡」の承久の乱の部分を読んでいる徳川家康というシーンとなって、最終回冒頭に加えられたとのこと。こうして、次作の大河ドラマ主演俳優が前作に同じ役で登場という史上初の事態となったようです。
さて、その松本潤が演じる徳川家康は、大河ドラマ史上最多登場キャラ! 今回の『どうする家康』が第62作となる大河ドラマ中、実に27作目のご出演。2作に1回近いペースで登場されているんですよ。そこで、過去26作の“ご出演歴”をリスト化(タイトルロールに役名・俳優名がクレジットされたもののみ)いたしましたので、以下に列記しましょう。
※右端が演じた俳優名
①第3作 『太閤記』(1965年) 尾上菊蔵(6代目)
②第7作 『天と地と』(1969年) 松山政路
③第9作 『春の坂道』(1971年) 山村聰
④第11作『国盗り物語』(1973年) 寺尾聰
⑤第16作『黄金の日日』(1978年) 児玉清
⑥第19作『おんな太閤記』(1981年) フランキー堺
⑦第21作『徳川家康』(1983年) 滝田栄
⑧第25作『独眼竜政宗』(1987年) 津川雅彦
⑨第26作『武田信玄』(1988年) 中村橋之助(現・中村芝翫)
⑩第27作『春日局』(1989年) 丹波哲郎
⑪第30作『信長 KING OF ZIPANGU』(1992年) 郷ひろみ
⑫第31作『琉球の風』(1993年) 小林旭
⑬第35作『秀吉』(1996年) 西村雅彦(現・西村まさ彦)
⑭第39作『葵 徳川三代』(2000年) 津川雅彦
⑮第41作『利家とまつ ~加賀百万石物語~』(2002年) 高嶋政宏
⑯第42作『武蔵 MUSASHI』(2003年) 北村和夫
⑰第45作『功名が辻』(2006年) 西田敏行
⑱第46作『風林火山』(2007年) 坂本恵介
⑲第48作『天地人』(2009年) 松方弘樹
⑳第50作『江~姫たちの戦国~』(2011年) 北大路欣也
㉑第53作『軍師官兵衛』(2014年) 寺尾聰
㉒第55作『真田丸』(2016年) 内野聖陽
㉓第56作『おんな城主 直虎』(2017年) 阿部サダヲ
㉔第59作『麒麟がくる』(2020-21年) 風間俊介
㉕第60作『青天を衝け』(2021年) 北大路欣也
㉖第61作『鎌倉殿の13人』(2022年) 松本潤
ちなみに次いで登場回数が多いキャラは、織田信長の19回ですが、第3位は豊臣秀吉ではなく、その家臣・前田利家の17回で、秀吉は4位(16回)。第5位は明智光秀の15回で、これが「大河」の常連キャラのトップ5ですね。過去61作中、いわゆる戦国時代を舞台にした作品が25作という大河ドラマですから、当然こうなります。戦国時代以外での最多登場キャラでは、西郷隆盛の14回。幕末を舞台にした「大河」は全15作ですので、西郷隆盛は幕末モノの常連さんと言えますね。