米国に激震、最高裁判事が20年以上も前代未聞の「たかり人生」
ナチス愛好家の富豪がジェット機や豪華ヨットを無償提供
2023.4.10(月)
高濱 賛
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非営利の「プロパブリカ」がすっぱ抜く
非営利の米報道機関「プロパブリカ」は4月6日、連邦最高裁の保守派クラレンス・トーマス判事(74)が共和党の大口献金者で不動産王のハーラン・クロウ氏(72)から20年以上にわたり豪華な旅行などの接待を受けていたとすっぱ抜いた。
「プロパブリカ」のモットーは「公共の利益を守る調査報道」。これまでにも主流メディアと競って特ダネ報道をものにしてきた。
(Clarence Thomas Defends Undisclosed Trips. Here Are the Facts. — ProPublica)
最高裁判事はじめ連邦議員や政府高官は、2004年以降、企業・団体および個人から贈与された415ドル以上の物品やホテル、リゾートなどでの宿泊費用、交通・観光交通手段の提供については毎年開示することが義務付けられている*1
*1=1978年に制定された「政府内倫理法」(The Ethics in Government Act)は最高裁判事も415ドル以上の物品をもらえばその送り主などについて毎年財務報告に記述せねばならない。その後、それまで除外されていた交通手段の提供も開示義務事案となった。
「プロパブリカ」調査報道チームによれば、トーマス氏の財務報告では、2019年、バージニア夫人を同伴してインドネシア観光旅行した際に米国から現地を往復したクロウ氏所有の大型プライベート・ジェット機や現地で島めぐりの際に使った豪華ヨットなどすべてクロウ氏から提供されていたことを突き止めた。
総費用は50万ドル(約6600万円)を超えていた可能性がある。
このほか、トーマス氏夫妻はニュージーランドや米カリフォルニア、テキサス、ジョージア各州にも旅行した際にはクロウ氏の米国内外のリゾートで休暇を過ごしているという。
こうした「たかり」は何と1990年代に知り合って以降、20年以上も続けられていた。
トーマス氏は4月7日に声明を発表してこう弁明した。
「就任初期に同僚らに意見を求めたが、業務に関係のない友人からの個人的な接待の報告は必要ないと言われた。報告指針は今後も守る」
一方、クロウ氏はこう釈明している。
「これは親しい友人であるトーマス氏に対する『個人的なもてなし』(Personal hospitality)だ。彼の方からはいかなる要求もなかった」
「こちらからの厚意で、ほかの親しい友人に対してと同じだ。むろんトーマス氏に何か頼んだり、情報を求めるようなことは全くなかった」
(Clarence Thomas Defends Undisclosed Trips. Here Are the Facts)