FIREを目指すなら、持ち家投資が最短距離(写真:アフロ)

(沖 有人:スタイルアクト代表取締役)

 FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取ったもので、「経済的自立」と「早期リタイア」を意味する言葉。要は、仕事をしなくても資産の運用益で生活できるようになる状態を言う。

 この状態をつくるためにどうすればいいのか。まず、必要な年間の生活費を設定するところから始めるのが一般的だ。月30万円、年間360万円が必要な生活費だとして、運用利回りは「4%」が実現可能な数字だと一般的に言われているので、9000万円の運用資産が必要になる。

 次に、この9000万円をどのように手に入れるかを検討する必要がある。例えば、毎月コツコツ5万円貯めた場合、9000万円を貯めるのにかかる年数は1800カ月、150年である。毎月10万円にしたところで75年かかるので元手ができる前に死んでしまう。

 そう考えると、元手は貯めるのではなく、借りるしかないことは明白だろう。それも多額に、低利で借りる必要がある。ただ、FIREしたいのでお金を貸して下さいと金融機関に言えば、消費者ローン扱いになり、金利は10%を超える。その理由は担保がないから。

 それでは、どうやって担保を手に入れればいいのか。お金を借りて、優良資産を手に入れればいい。

 どんな人でも最も低利でお金を借りる方法がある。その金利は0.3%ほどと格安で、その利子負担軽減のための税制があり、0.7%の利子補給がされる。これは、5000万円借りると年間35万円のキャッシュがもらえるのと同じことだ。実質的に0.4%のマイナス金利となり、借りる額を増やすほどもらえる利子は増えるので借り得となる。

 そんな夢のようなローンは、実は日本の高齢者の8割以上が経験している。日本は国策としてこのローンを利用して、資産を形成することを推奨してきた。だからこそ、税制上も各種の軽減措置を行っているわけだ。

 FIREするために誰でもが多額に低利で借りられるローン、それは「住宅ローン」である。