「過失致死」が遺族の署名活動によって「危険運転致死」に
今回、初公判を傍聴した大谷さんは語ります。
「個人的には甲23号証で示された検証結果が印象深かったですね。捜査機関は模擬車両を用いて、時速40キロ、60キロ、115キロにおける走行時の見え方の実験を行っていました。その結果、115キロでは横断直前まで被害者を確認できないが、40キロ、60キロなら衝突する前に被害者を認め、回避することが可能であったと結論付けていました。これはとても説得力ある証拠でした。
仕事で疲れていて早く帰宅したかったのは分からないでもありません。しかし、あの道で115キロはいくらなんでも出しすぎです。検証により、超高速度だったから止まれなかったというなら、過失ではなく、危険運転致死傷罪における『運転の制御ができないほどの高速度で車を走行させる行為』という解釈を当てはめてよいのではないか、そう感じました」
ちなみに、前出の大分での194キロ死亡事故は、通称「40メートル道路」と呼ばれている片側3車線の広い直線道路(制限速度60キロ)で発生し、直進していた被告車が対向右折車と衝突しました。
当初、被告は「過失致死」で起訴されましたが、納得できない遺族が声を上げ、署名活動を展開。その後、検察は「危険運転致死」へ訴因変更することになりました。これから裁判員裁判が開かれる予定ですが、結果的に裁判官がどのような判断を下すかはまだわかりません。
制限速度を大幅に超過した上での重大事故は全国各地で発生しています。しかし、司法の判断は今、大きく揺れています。
千葉県鎌ケ谷市で起こった現職刑事による時速115キロ死亡事故。次回公判は5月10日、千葉地裁松戸支部にて14時10分~15時10分、被告人質問が行われ、結審の予定です。