大手不動産系は「ハコが立派」とされるが
「大手不動産さん系の施設はハコ(建物や設備)が立派ですから、都会生活に慣れ親しんだ元気な高齢者が暮らすにはいいでしょう。半面、専門外の介護については正直あまりノウハウがないようです」
「あそこの介護棟も最初はCVポートの患者さんを受け入れていたはずですが、輸液量や滴下時間の管理に加え合併症対策にも注意が必要になるCVポートは無理だと判断するようになったんじゃなかったかな」
最初はCVポートの患者を受け入れていた?
この一言に引っかかりを覚えた男性が入居時の契約書を引っ張り出して確認したところ、確かにCVポートの装着は除外事項となっていなかった。
不審に思った男性が施設に問い合わせたところ、電話に出た看護師は「確かに以前は受け入れていましたが、今はダメなんです」と繰り返すばかり。
「お宅が無理なら、代わりの施設を探す手伝いくらいはしてくれてもいいんじゃないですか」と嫌味を言うと、後日、申し訳程度に数軒の施設名を挙げてきたという。
新しい施設に移った母親は、前の施設で親しくしていた仲間に別れも告げずに転居したことを気にしていた。身動きの取れない母親の代わりに挨拶に向かった先で、Aさんはさらに衝撃的な話を耳にする。