(加藤勇樹:中国広東省在住コンサルタント)
中国では、昨年(2022年)12月にコロナ規制が大幅緩和されたことを受け、多くの中国企業が国外に目を向け始めました。3年間の停滞を取り戻そうとする動きが加速しています。
その進出先として、日本も例外ではありません。日本市場への進出に力を入れる企業の例をご紹介します。
オンライン参加ではうまく成果が出なかった
最初は、太陽光パネルの製造を行う「上海光凡新能源科技有限公司(Solarbao)」です。代表の曲業杰氏にお話をうかがいました(記事冒頭写真)。
曲氏:私たちは中国国内で開発・生産した発電用の太陽光パネルを、2016年から日本市場でも販売しています。2016年には日本でクリーンエネルギーや太陽光発電の法規制が始まり、Solarbaoにとって日本は非常に重要な市場という位置づけでした。
さまざまな領域の製品に言えることですが、中国のモノ作りはこの数年間の中国国内市場での競争により品質が非常に向上しています。私たちの太陽光パネルも京セラさんや東芝さんなどの大手企業に匹敵する品質という評価を中国国内では得ていましたし、7割近いコストダウンを達成しました。OEMという形で知名度は低いですが、現状では多くの中国製品が浸透しています。
コロナによる移動規制中でも、私たちは日本のエネルギー産業展示会にオンラインで参加していましたが、現地に行って実際に参加していた時と比べて、10%以下の結果しか出せませんでした。お客さんとの距離を感じましたし、信頼関係を構築することが難しかったのです。また日本のビジネス環境の変化を自分自身で感じることもできませんでした。この数年間、オンラインでの商談や展示会参加は、そんな状況でした。
私たちは今、1カ月後に開催される日本の展示会に参加するために、ビジネスビザの申請準備を進めています。この数年間、日本市場でのビジネスは計画通りとは言えませんでしたが、今回の日本出張には大変期待しています。日本側でも中国企業の参加の支援をしてくれました。日中のビジネスが本格化する良い兆しだと感じています。
今後は国外出張を3カ月に1回程度と増やしていく予定です。中国企業が国外進出やグローバルにビジネスを展開する必要性はますます増えており、現地の企業や中国人ネットワークの重要性はますます増えていくでしょう。