なぜ印西にDCが集積しているのか?
駅から数百メートル離れた道路沿いに工事中の用地があった。掲示されている開発事業事前公開板を見ると「用途 データセンター」とある。施工は大手建設会社。こんな駅近にも建設中なのだ。その他の場所でも建設中の現場を見かけた。すでにDC集積地となっているのに、まだまだ増殖中なのである。
印西市役所から南に2kmほどの地区に存在するのは巨大な物流施設エリア「グッドマンビジネスパーク」だ。アジアパシフィック、ヨーロッパ、北南米などで事業展開するオーストラリア最大の不動産グループであるグッドマンが開発した。
4棟合わせて約51万6000m2は100%稼働中だという。2021年にはさらに最新鋭の1棟(13万m2)が完成した。このエリアの一角にグーグルのDCが建設中だ。完成したら、また大きな話題になることだろう。
2時間ほどクルマで印西市内を回ったが、区画整理がきちんとされ道幅が広い新興住宅街と、畑や林が残り道幅も狭い旧市街では街の様相が全く異なる。そんな複合的な街には、ショッピングモール、ホームセンター、自動車販売店、大病院、外食チェーン、住宅街、公園、畑、ゴルフ場、競走馬育成・調教の牧場、そして物流倉庫やDCが混在している。棲み分けはできているが、田園風景と最先端施設、昭和と令和が混じり合ったなんとも不思議な光景だった。
印西市にDCが建ち始めたのは20年以上も前からだと言われている。国内の大手金融機関が千葉ニュータウン駅近くにオフィスと兼用の高層ビルを建てた。それ以降、金融機関、保険会社、シンクタンク、情報通信などの企業が続き、ここ10年ほどは海外の大手IT関連企業が続々と進出してきている。印西市にDCが集積した要因は次のような点が指摘されている。
(1)千葉ニュータウン内ということで広大で安価な事業用用地があった
(2)地盤の固さ、浸水の恐れがないなど防災面での優位性
(3)IT機能が集積する東京へのアクセスがよく、成田空港にも近い
(4)海底ケーブルの陸揚げ局から近い
(5)安定した電力供給のインフラが確立
恵まれた環境が整っていたのだ。