「住みたい街ランキング」で急浮上している本厚木

(山下和之:住宅ジャーナリスト)

 LIFULL HOME'Sの『2022年 LIFULL HOME'S 住みたい街ランキング』の「借りて住みたい街(駅)」のトップに小田急小田原線の本厚木(ほんあつぎ)駅があがり、2位にJR京浜東北線などの大宮駅、3位にはJR常磐線などの柏駅が入った。コロナ禍もあって、都心から少し離れた近郊や郊外が人気を集めている。なかでも、なぜ本厚木がトップなのか、その要因を探ってみると――。

物件サイトへのアクセス数に基づくランキング

 不動産・住宅情報サイトの「LIFULL HOME'S」を運営する株式会社LIFULLでは、毎年『LIFULL HOME'S 住みたい街(駅)ランキング』を発表している。

 このLIFULLの調査の特徴は、実際に借りたい、買いたいと思っている人たちが「LIFULL HOME'S」にアクセスした件数を街(駅)ごとに集計してランキング化している点にある。住みたい街ランキングはさまざまな調査機関が実施しているが、その多くは、予算や費用面などから実際に住めるかどうかということには関係なく、単に憧れ的に住んでみたいと思っている街を聞いているケースが多い。

 それに対して、LIFULLの調査は、実際に物件を探している人たちが関心を示している「借りて住みたい街(駅)」「買って住みたい街(駅)」であり、現実のユーザーのニーズに対応したランキングといっていいだろう。

賃貸は準近郊や郊外のターミナル駅が人気

 その2022年版の結果をみると、「借りて住みたい街(駅)」に関しては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあって、高い家賃を払って都心やその近くに住みたいというよりも、家賃が安くて快適で安心して住まえる、近郊や郊外のターミナル街(駅)に住みたい──という結果になった。

 一方、「買って住みたい街(駅)」ランキングでは、コロナ禍の影響で郊外の人気が高まると同時に、都心やその周辺の利便性や資産性が見直されて、郊外と都心がともに人気の二極化傾向が強まっていることが分かった。